正岡子規を偲ぶ「仰臥漫録」展



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出口

地下小展示


〈秋山真之と子規〉

 秋山真之(さねゆき)は、明治三十六年の日露戦争の日本海海戦において、東郷平八郎の参謀としてロシアのバルチック艦隊を撃滅させた軍人として有名で、兄秋山好古(よしふる)と共に司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』にも登場している。が、このエリート軍人は、十代後半に子規と神田の下宿に同宿し、東大文学部を目指していたという経歴の持主でもある。慶応四年に松山に生まれ、十五歳で兄を頼って上京し、東京大学予備門で子規と同席したが、その後は進路を変え、海軍兵学校へ通った。しかし、子規の葬式には参列し、旧友を偲んだ。

 





明治三十九年五月三十日付虚子宛秋山真之書簡

『子規遺稿』編集のため子規書簡を借りたい旨の書簡を送った虚子に対する返書。転居の折に紛失したものか、書類入れの中を全部探したが見つからなかったと詫びている。





子規発句経譬喩品(複製)(秩の題字は碧梧桐 花笛文庫蔵)

 子規が自派の句会に参加した俳人二十六人について、精進物に譬えたら何になるか、そしてその心(理由)を個々に解いた、ユーモア溢れる発句経一帖。経本仕立ての和本は、しばしば俳書にも見ることができるが、友人達を野菜に譬えるという発想は、分類癖の強い子規ならではと言えよう。原本の執筆時期は不詳だが、明治二十八、九年頃と推測することができる。
 なお、この複製は大正十四年十二月、大阪天下茶屋の天青堂から出版された。

 

 


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