「日本派」特別展5 ―虚子と「ホトトギス」の小説時代―
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風流懺法
虚子の初期小説を代表する「風流懺法」は、明治40年4月号「ホトトギス」に掲載されたが、同年3月に国民新聞に連載された「叡山詣」を下敷きに、比叡山の横河と祇園一力の二場面から構成されている。登場人物の小坊主一念と祇園の舞妓三千歳の名は、叡山根本中堂の額に掛けてあった「一念三千」の大書からとられたという。この「風流懺法」は、翌年五月に「続風流懺法」、大正8年から9年にかけて「風流懺法後日譚」と三部作として書き継がれ、登場人物のその後が語られている。
「後日譚」連載を終えた虚子が、大正9年7月21日、三千歳のモデル三千女と風流懺法供養遊びをし、僧侶姿に鬘をつけ、一念ならぬ「老一念」に扮して戯れている姿が写されている。短冊も大正期の筆致で、ほぼ同時期のものであろう。ただし、茶碗の字は小振りで整っており、晩年のものかと推察される。
虚子軸
風流懺法後日譚関連双幅
「虚子拙句多 以此可概知
10年前の吾妹子に
君に惚れぬ春灯われをおびやかし 虚子」
「明治四十年千賀菊サン二惚れ、
大正9年5月11日又惚れる
二度惚れし人に春浅き日傘哉 虚子」
虚子軸
「煮ゆる時蕪汁とぞ匂ひける 虚子」
(M39)
「冬の山低きところや法隆寺 虚子」
(M38)
「風流懺法」
扁額
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