虚子記念文学館投句特選句 令和7年






−−2025/令和7年9月−−

【特選 10句】

譜面より旅する十指秋灯下

兵庫

中村恵美

また光押し出すやうにばつた跳ぶ

岡山

石井宏幸

虚子館に入りたる藪蚊叩かれし

新潟

安原 葉

青空も一緒に狩りぬ葡萄園

兵庫

大西美知子

一口の番茶にほどく夜食かな

兵庫

山之口倫子

秋の蚊を打ちては守る五尺の身

大阪

北上美佐子

秋の夜をゆるく流れるビオラの音

三重

中島庸子

化学式の並ぶ黒板秋灯

兵庫

武田奈々
(青少年)

星祭夜空の終はり告げる風

兵庫

藤丸慎士
(青少年)

耳せんを外せばかゆい秋の夜

滋賀

太田 慈
(青少年)

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−−2025/令和7年8月−−

【特選 10句】

俳磚の詩ひびきゐし月の庭

京都

西村やすし

タイガース勢ひ止まらぬ夏の陣

兵庫

涌羅由美

道の辺の赤のまんまに日の遊ぶ

兵庫

河野ひろみ

鈴虫や闇の帳が籠となり

東京

清水ぽっぽ

女より酒より俳句好きの秋

神奈川

進藤剛至

日盛の光の余白動き出す

兵庫

奥田好子

虚子館の冷房を我独り占め

新潟

安原 葉

夏の名残蹴つてあらゆる窓開ける

千葉

鹿野川小舟

ブルーギルばたばた秋の湖で

滋賀

太田 慈
(青少年)

暑き日の緑流るゝ燦々と

神奈川

朗哉月善作
(青少年)

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−−2025/令和7年7月−−

【特選 10句】

心音をつき抜けてゆく揚花火

神奈川

進藤剛至

裏返る雲の一角朝曇

岡山

石井宏幸

降り注ぐ日差し七色梅雨明けぬ

兵庫

高野さち

黙祷の解けて捉へし虹もあり

兵庫

惠島祥一朗

夏草にちらとも見えず芦屋川

愛知

中野ひろみ

あかつきの最初のひかり蓮の花

兵庫

伊集院秀樹

さういへば始りはこのソーダ水

大阪

北上美佐子

明易の館へ一番乗りであり

香川

三宅久美子

登山者のちひさき影の峠越ゆ

京都

前 悦子

ちょこりんと座る人形熱帯夜

滋賀

太田 慈
(青少年)

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−−2025/令和7年6月−−

【特選 10句】

夕焼や明日を探しに日の沈む

京都

西村やすし

蚊遣香果て一夜さの夢終はる

大阪

多田羅紀子

蚕豆の空を吸うては膨れたる

兵庫

吉村玲子

明易や夢のかけらの白みゆく

兵庫

足立朱麻

師の庭の声は幻女王花

東京

柿崎典子

懸案をしばし忘れて豆の飯

兵庫

永沢達明

吹き下ろす風を広げてゐる植田

東京

荒川ともゑ

穀象のあわてさわがず備蓄米

大阪

北上美佐子

明易し寝返りの間の夢浅し

兵庫

高市敦之

ヒコーキが上下上下飛ぶすずし

滋賀

太田 慈
(青少年)

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−−2025/令和7年5月−−

【特選 10句】

大空に矢車響く風の詩

京都

西村やすし

稜線につるぎ舞ひけり春の雷

兵庫

吉田知子

若葉風三師の句碑のしるき文字

新潟

安原 葉

一滴にまた一滴に新茶の香

兵庫

道中義臣

白い雲のせてヨットの走り出す

香川

藤岡正子

煩悩とともに押し出す心太

和歌山

中島紀生

更衣母のにほひの襟のまま

東京

清水ぽっぽ

入学児やうやう慣れし頃の熱

三重

中島庸子

風薫る路地に明るき行き止まり

兵庫

太平楽太郎

小満のペンをはさんだ足の指

滋賀

太田 慈
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−−2025/令和7年4月−−

【特選 10句】

日本に平和もたらす朝桜

京都

西村やすし

はだれ野の獣の影の息づかひ

奈良

河村久美子

佐保姫のまみえし朝の別れ霜

広島

今野 真

町の灯に連れ戻されて春夕

兵庫

松浦百重

花屑のたましひ土に移りけり

神奈川

進藤剛至

直線の風曲線にする柳

大阪

須知香代子

すみれ咲く一途な色の褪せずして

兵庫

川村ひろみ

ふるさとの花見て芦屋川の松

徳島

多田まさ子

立ち上がる名もなき国や蜃気楼

兵庫

武田奈々
(青少年)

だるまに目えんぴつでかく夏近し

滋賀

太田 慈
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−−2025/令和7年3月−−

【特選 10句】

なよなよと吉野桜の芽立ちかな

新潟

安原 葉

美容師のチョキチョキチョキと春日ごと

静岡

いたまき芯

蔦の芽の風のさざめき聞く館

兵庫

黒田千賀子

伊賀街の老舗昭和の田楽屋

三重

松村咲子

春光へ羽をひろげし譜面台

東京

桜鯛みわ

日が差せば岸辺耀ふ春の水

徳島

多田まさ子

残雪の富士を見てより寝落ちけり

東京

荒川ともゑ

館長の三年の歩や風光る

神奈川

進藤剛至

本堂の屋根を早春転びをり

兵庫

池田文子

とんとんと起こしてほしい春休み

滋賀

太田 慈
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−−2025/令和7年2月−−

【特選 10句】

虚子が守る次郎左ヱ門雛かな

兵庫

藤井啓子

春灯の照らす明治のホトトギス

京都

西村やすし

心竹の朱墨のエールあたたかし

兵庫

涌羅由美

雪男には素通りの雪女

奈良

河村久美子

春を待つ君の指先駅ピアノ

三重

池本準一

深夜二時過ぎし無言のちゃんちゃんこ

愛知

海神瑠珂

薄氷のひかりひきつぐ蕾かな

東京

桜鯛みわ

盆梅に見ゆる古木の気品かな

兵庫

山岸正子

転校の友へ寄せ書きクロッカス

愛媛

星月彩也華

梅咲いて石山寺へ道は坂

滋賀

太田 慈
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−−2025/令和7年1月−−

【特選 10句】

待春の潮の香となる松林

兵庫

田村惠津子

米寿へと一歩門を出る初景色

京都

西村やすし

初空の光の鼓動差し込みぬ

兵庫

奥田好子

大寒の地を蹴る音の硬さかな

和歌山

中島紀生

登り来て一目五万戸初景色

大阪

須知香代子

集ひたる帯の模様にある淑気

兵庫

辻 桂湖

三十年を経てなほ街の悴みぬ

東京

宮村土々

会へば直ぐ雪の深さを問ふ友等

新潟

安原 葉

ずる休みしたる天帝寒の晴

石川

辰巳昌彦

雪うさぎ何もなくても消えないで

滋賀

太田 慈
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