虚子記念文学館投句特選句 令和7年
2025/令和7年10月 特選句・入選句 PDF
−−2025/令和7年10月−−
【特選 10句】
かげといふかげを沈めて水澄める
岡山
石井宏幸
今年米届く伏見に灘郷に
香川
三宅久美子
閉ぢられし庭の木の揺れ小鳥来る
奈良
堀田建夫
撫子の風にささやく小さき嘘
兵庫
池田雅かず
夕萩や筆ペンで書くさやうなら
大阪
押見げばげば
冬支度サイズ変はりし吾子の服
兵庫
武田優子
はつきりと黒々と白山の秋
石川
辰巳葉流
束ねても竜胆どこか影寂し 兵庫 黒田千賀子 自習室ノート片手の夜食かな
兵庫
武田奈々
(青少年)窓際の教科書めくる風九月
兵庫
藤丸慎士
(青少年)
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2025/令和7年9月 特選句・入選句 PDF
−−2025/令和7年9月−−
【特選 10句】
譜面より旅する十指秋灯下
兵庫
中村恵美
また光押し出すやうにばつた跳ぶ
岡山
石井宏幸
虚子館に入りたる藪蚊叩かれし
新潟
安原 葉
青空も一緒に狩りぬ葡萄園
兵庫
大西美知子
一口の番茶にほどく夜食かな
兵庫
山之口倫子
秋の蚊を打ちては守る五尺の身
大阪
北上美佐子
秋の夜をゆるく流れるビオラの音
三重
中島庸子
化学式の並ぶ黒板秋灯
兵庫
武田奈々
(青少年)星祭夜空の終はり告げる風
兵庫
藤丸慎士
(青少年)耳せんを外せばかゆい秋の夜
滋賀
太田 慈
(青少年)
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2025/令和7年8月 特選句・入選句 PDF
−−2025/令和7年8月−−
【特選 10句】
俳磚の詩ひびきゐし月の庭
京都
西村やすし
タイガース勢ひ止まらぬ夏の陣
兵庫
涌羅由美
道の辺の赤のまんまに日の遊ぶ
兵庫
河野ひろみ
鈴虫や闇の帳が籠となり
東京
清水ぽっぽ
女より酒より俳句好きの秋
神奈川
進藤剛至
日盛の光の余白動き出す
兵庫
奥田好子
虚子館の冷房を我独り占め
新潟
安原 葉
夏の名残蹴つてあらゆる窓開ける
千葉
鹿野川小舟
ブルーギルばたばた秋の湖で
滋賀
太田 慈
(青少年)暑き日の緑流るゝ燦々と
神奈川
朗哉月善作
(青少年)
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2025/令和7年7月 特選句・入選句 PDF
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【特選 10句】
心音をつき抜けてゆく揚花火
神奈川
進藤剛至
裏返る雲の一角朝曇
岡山
石井宏幸
降り注ぐ日差し七色梅雨明けぬ
兵庫
高野さち
黙祷の解けて捉へし虹もあり
兵庫
惠島祥一朗
夏草にちらとも見えず芦屋川
愛知
中野ひろみ
あかつきの最初のひかり蓮の花
兵庫
伊集院秀樹
さういへば始りはこのソーダ水
大阪
北上美佐子
明易の館へ一番乗りであり
香川
三宅久美子
登山者のちひさき影の峠越ゆ
京都
前 悦子
ちょこりんと座る人形熱帯夜
滋賀
太田 慈
(青少年)
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2025/令和7年6月 特選句・入選句 PDF
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【特選 10句】
夕焼や明日を探しに日の沈む
京都
西村やすし
蚊遣香果て一夜さの夢終はる
大阪
多田羅紀子
蚕豆の空を吸うては膨れたる
兵庫
吉村玲子
明易や夢のかけらの白みゆく
兵庫
足立朱麻
師の庭の声は幻女王花
東京
柿崎典子
懸案をしばし忘れて豆の飯
兵庫
永沢達明
吹き下ろす風を広げてゐる植田
東京
荒川ともゑ
穀象のあわてさわがず備蓄米
大阪
北上美佐子
明易し寝返りの間の夢浅し
兵庫
高市敦之
ヒコーキが上下上下飛ぶすずし
滋賀
太田 慈
(青少年)
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2025/令和7年5月 特選句・入選句 PDF
−−2025/令和7年5月−−
【特選 10句】
大空に矢車響く風の詩
京都
西村やすし
稜線につるぎ舞ひけり春の雷
兵庫
吉田知子
若葉風三師の句碑のしるき文字
新潟
安原 葉
一滴にまた一滴に新茶の香
兵庫
道中義臣
白い雲のせてヨットの走り出す
香川
藤岡正子
煩悩とともに押し出す心太
和歌山
中島紀生
更衣母のにほひの襟のまま
東京
清水ぽっぽ
入学児やうやう慣れし頃の熱
三重
中島庸子
風薫る路地に明るき行き止まり
兵庫
太平楽太郎
小満のペンをはさんだ足の指
滋賀
太田 慈
(青少年)
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2025/令和7年4月 特選句・入選句 PDF
−−2025/令和7年4月−−
【特選 10句】
日本に平和もたらす朝桜
京都
西村やすし
はだれ野の獣の影の息づかひ
奈良
河村久美子
佐保姫のまみえし朝の別れ霜
広島
今野 真
町の灯に連れ戻されて春夕
兵庫
松浦百重
花屑のたましひ土に移りけり
神奈川
進藤剛至
直線の風曲線にする柳
大阪
須知香代子
すみれ咲く一途な色の褪せずして
兵庫
川村ひろみ
ふるさとの花見て芦屋川の松
徳島
多田まさ子
立ち上がる名もなき国や蜃気楼
兵庫
武田奈々
(青少年)だるまに目えんぴつでかく夏近し
滋賀
太田 慈
(青少年)
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2025/令和7年3月 特選句・入選句 PDF
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【特選 10句】
なよなよと吉野桜の芽立ちかな
新潟
安原 葉
美容師のチョキチョキチョキと春日ごと
静岡
いたまき芯
蔦の芽の風のさざめき聞く館
兵庫
黒田千賀子
伊賀街の老舗昭和の田楽屋
三重
松村咲子
春光へ羽をひろげし譜面台
東京
桜鯛みわ
日が差せば岸辺耀ふ春の水
徳島
多田まさ子
残雪の富士を見てより寝落ちけり
東京
荒川ともゑ
館長の三年の歩や風光る
神奈川
進藤剛至
本堂の屋根を早春転びをり
兵庫
池田文子
とんとんと起こしてほしい春休み
滋賀
太田 慈
(青少年)
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2025/令和7年2月 特選句・入選句 PDF
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【特選 10句】
虚子が守る次郎左ヱ門雛かな
兵庫
藤井啓子
春灯の照らす明治のホトトギス
京都
西村やすし
心竹の朱墨のエールあたたかし
兵庫
涌羅由美
雪男には素通りの雪女
奈良
河村久美子
春を待つ君の指先駅ピアノ
三重
池本準一
深夜二時過ぎし無言のちゃんちゃんこ
愛知
海神瑠珂
薄氷のひかりひきつぐ蕾かな
東京
桜鯛みわ
盆梅に見ゆる古木の気品かな
兵庫
山岸正子
転校の友へ寄せ書きクロッカス
愛媛
星月彩也華
梅咲いて石山寺へ道は坂
滋賀
太田 慈
(青少年)
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2025/令和7年1月 特選句・入選句 PDF
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【特選 10句】
待春の潮の香となる松林
兵庫
田村惠津子
米寿へと一歩門を出る初景色
京都
西村やすし
初空の光の鼓動差し込みぬ
兵庫
奥田好子
大寒の地を蹴る音の硬さかな
和歌山
中島紀生
登り来て一目五万戸初景色
大阪
須知香代子
集ひたる帯の模様にある淑気
兵庫
辻 桂湖
三十年を経てなほ街の悴みぬ
東京
宮村土々
会へば直ぐ雪の深さを問ふ友等
新潟
安原 葉
ずる休みしたる天帝寒の晴
石川
辰巳昌彦
雪うさぎ何もなくても消えないで
滋賀
太田 慈
(青少年)
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