虚子記念文学館投句特選句 令和7年





−−2025/令和7年5月−−

【特選 10句】

大空に矢車響く風の詩

京都

西村やすし

稜線につるぎ舞ひけり春の雷

兵庫

吉田知子

若葉風三師の句碑のしるき文字

新潟

安原 葉

一滴にまた一滴に新茶の香

兵庫

道中義臣

白い雲のせてヨットの走り出す

香川

藤岡正子

煩悩とともに押し出す心太

和歌山

中島紀生

更衣母のにほひの襟のまま

東京

清水ぽっぽ

入学児やうやう慣れし頃の熱

三重

中島庸子

風薫る路地に明るき行き止まり

兵庫

太平楽太郎

小満のペンをはさんだ足の指

滋賀

太田 慈
(青少年)

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−−2025/令和7年4月−−

【特選 10句】

日本に平和もたらす朝桜

京都

西村やすし

はだれ野の獣の影の息づかひ

奈良

河村久美子

佐保姫のまみえし朝の別れ霜

広島

今野 真

町の灯に連れ戻されて春夕

兵庫

松浦百重

花屑のたましひ土に移りけり

神奈川

進藤剛至

直線の風曲線にする柳

大阪

須知香代子

すみれ咲く一途な色の褪せずして

兵庫

川村ひろみ

ふるさとの花見て芦屋川の松

徳島

多田まさ子

立ち上がる名もなき国や蜃気楼

兵庫

武田奈々
(青少年)

だるまに目えんぴつでかく夏近し

滋賀

太田 慈
(青少年)

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−−2025/令和7年3月−−

【特選 10句】

なよなよと吉野桜の芽立ちかな

新潟

安原 葉

美容師のチョキチョキチョキと春日ごと

静岡

いたまき芯

蔦の芽の風のさざめき聞く館

兵庫

黒田千賀子

伊賀街の老舗昭和の田楽屋

三重

松村咲子

春光へ羽をひろげし譜面台

東京

桜鯛みわ

日が差せば岸辺耀ふ春の水

徳島

多田まさ子

残雪の富士を見てより寝落ちけり

東京

荒川ともゑ

館長の三年の歩や風光る

神奈川

進藤剛至

本堂の屋根を早春転びをり

兵庫

池田文子

とんとんと起こしてほしい春休み

滋賀

太田 慈
(青少年)

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−−2025/令和7年2月−−

【特選 10句】

虚子が守る次郎左ヱ門雛かな

兵庫

藤井啓子

春灯の照らす明治のホトトギス

京都

西村やすし

心竹の朱墨のエールあたたかし

兵庫

涌羅由美

雪男には素通りの雪女

奈良

河村久美子

春を待つ君の指先駅ピアノ

三重

池本準一

深夜二時過ぎし無言のちゃんちゃんこ

愛知

海神瑠珂

薄氷のひかりひきつぐ蕾かな

東京

桜鯛みわ

盆梅に見ゆる古木の気品かな

兵庫

山岸正子

転校の友へ寄せ書きクロッカス

愛媛

星月彩也華

梅咲いて石山寺へ道は坂

滋賀

太田 慈
(青少年)

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−−2025/令和7年1月−−

【特選 10句】

待春の潮の香となる松林

兵庫

田村惠津子

米寿へと一歩門を出る初景色

京都

西村やすし

初空の光の鼓動差し込みぬ

兵庫

奥田好子

大寒の地を蹴る音の硬さかな

和歌山

中島紀生

登り来て一目五万戸初景色

大阪

須知香代子

集ひたる帯の模様にある淑気

兵庫

辻 桂湖

三十年を経てなほ街の悴みぬ

東京

宮村土々

会へば直ぐ雪の深さを問ふ友等

新潟

安原 葉

ずる休みしたる天帝寒の晴

石川

辰巳昌彦

雪うさぎ何もなくても消えないで

滋賀

太田 慈
(青少年)

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