虚子記念文学館投句特選句 令和2年






−−2020/令和2年12月−−

【特選 10句】

椿子の面影残す納句座

京都

西村やすし

なつかしきやさしき日ざし十二月

神奈川

進藤剛至

新しくふえし俳磚冬ぬくし

新潟

安原 葉

冬の朝愛車手離すこととなり

兵庫

中村恵美

冬芽立つ命の色のそれぞれに

大阪

杉山千恵子

猪鍋や噛みしめて聞く山の音

兵庫

山田佳乃

邸内の落葉の風情踏む風情

兵庫

黒田千賀子

松に菰巻いて静かに冬の庭

石川

辰巳昌彦

病む母の目線の先へ聖樹かな

兵庫

キートスばんじょうし

年の瀬や磨きあげたる片手鍋

兵庫

武田奈々
(青少年)

戻る

2020/令和2年12月 特選句・入選句 PDF




−−2020/令和2年11月−−

【特選 10句】

虚子館に来れば友あり冬ぬくし

新潟

安原 葉

燦々と冬芽に日差し降りそそぐ

兵庫

奥田好子

泥ついてから大胆に泥鰌掘る

兵庫

辻 桂湖

この町の日ざしでありぬ七五三

神奈川

進藤剛至

初鴨やこの川にこの水に慣れ

京都

山崎貴子

落葉して空の高さの戻りくる

鳥取

前田 千

今年酒徳利の小さき蕎麦屋かな

兵庫

キートスばんじょうし

水鳥の哀しみ湛へ湖碧く

神奈川

平野孤舟

始まりしばかりの未来七五三

兵庫

寺杣啓子

すくつては放り上げたる散紅葉

兵庫

武田奈々
(青少年)

戻る

2020/令和2年11月 特選句・入選句 PDF





−−2020/令和2年10月−−

【特選 10句】

ついて来し風も行き過ぎ秋の暮

大阪

大川隆夫

虚子館や金木犀が我を待つ

新潟

安原 葉

しんみりと飲むも新酒でありにけり

奈良

好川忠延

民宿の朝を早めて鳥威

兵庫

小杉伸一路

褒められて萩恥らひて零れけり

兵庫

高野さち

金木犀雨の重さの匂ひくる

兵庫

清瀬 環

秋の灯や砂場に残る小さき山

東京

宮村土々

奥能登の黄金千枚豊の秋

大阪

山下幸典

酒好きの父祖のことふと新酒酌む

京都

山崎貴子

退院の友来る朝よ秋の空

兵庫

武田奈々
(青少年)

戻る

2020/令和2年10月 特選句・入選句 PDF





−−2020/令和2年9月−−

【特選 10句】

秋風や窓の数だけ空のいろ

兵庫

武田奈々
(青少年)

旅の秋妻の遺愛の杖を曳き

新潟

安原 葉

青空に置き忘れたる宵の月

奈良

好川忠延

鬼灯を鳴らし濃くなる夕茜

兵庫

涌羅由美

打水に驚きの影翔ちにけり

兵庫

黒田千賀子

六甲の風をひと混ぜあきつ飛ぶ

兵庫

辻 桂湖

その次の次の空へと鰯雲

兵庫

奥田好子

選考を急く師にエール昼の虫

兵庫

岩水ひとみ

庭の水澄み恙なき師を思ふ

大阪

田邉育子

竹の春幼子一歩二歩三歩

兵庫

千家恵子

戻る

2020/令和2年9月 特選句・入選句 PDF





−−2020/令和2年8月−−

【特選 10句】

生きてゐてこその再会秋涼し

新潟

安原 葉

晩夏とは雲の色にも流れにも

兵庫

小杉伸一路

目を空へ逸らせば百合の花かをる

鳥取

前田 千

たまゆらの風鈴の音に解くこころ

兵庫

中村恵美

晴れ上がる朝一気に蝉しぐれ

兵庫

奥田好子

万象を励ますごとしカンナ燃ゆ

滋賀

石川多歌司

サングラスかけて母校に踏み入りし

神奈川

進藤剛至

山の日にタグボート見る暑さかな

兵庫

キートスばんじょうし

にぎりめし塩多めなる炎暑かな

神奈川

平野政良

アマビエの絵つき風鈴寺の道

兵庫

武田奈々
(青少年)

戻る

2020/令和2年8月 特選句・入選句 PDF





−−2020/令和2年7月−−

【特選 10句】

虚子館は扉を開けしまま風涼し

新潟

安原 葉

鳥の声満ち七月の森となる

兵庫

小杉伸一路

追ひ打ちの雨降りやまぬ出水かな

兵庫

三村純也

閉ざされて偲ぶ人あり梅雨の霧

兵庫

永沢達明

水音に濡れて着く館夏深し

兵庫

玉手のり子

句敵の軸並べたる涼しさよ

兵庫

坂口蜂子

おくれ来し人の大きな夏帽子

神奈川

進藤剛至

梅雨深くとも極楽の館へと

兵庫

内田泰代

喝采は朝までと知る女王花

鳥取

前田 千

芭蕉子規虚子それからの大夏野

奈良

杉田百花

戻る

2020/令和2年7月 特選句・入選句 PDF





−−2020/令和2年6月−−

【特選 10句】

ひつそりと逝かれし人も梅雨の月

兵庫

池田雅かず

雷のやみては次を待つ心

神奈川

進藤剛至

虚子館の青葉に伸ばす手足かな

兵庫

玉手のり子

海の香の強き一と日や梅雨兆す

兵庫

小杉伸一路

降り立ちて入る記念樹の蔭涼し

新潟

安原 葉

万緑に染まり健やかなる集ひ

兵庫

内田泰代

空蒼く川は濁りて梅雨晴間

愛知

村瀬みさを

水音の心地良き庭合歓咲けり

大阪

徳岡美祢子

さくらんぼ種出すまでの至福かな

兵庫

山口弘子

ともかくも顔見るだけの水見舞

兵庫

柄川武子

戻る

2020/令和2年6月 特選句・入選句 PDF





−−2020/令和2年5月−−

【特選 10句】

豆飯やぐち一言も云はぬ母

兵庫

田中良子

若かへで空にぺつたり貼れさうな

神奈川

進藤剛至

ふらここや夕餉の香り母の声

神奈川

平野政良

畑を越え田を越え祭囃子かな

兵庫

小杉伸一路

角ふたつ曲がれば川辺花楝

兵庫

玉手のり子

軒を出て宙をすべるや夏燕

愛知

中野ひろみ

軽やかなピアノの調べ薔薇の庭

千葉

玉井令子

湖に淡き影曳く夏の月

大阪

河辺さち子

松蝉の四方より囃す山路かな

兵庫

田村惠津子

朝靄の古都紫陽花の藍滲む

東京

土々

戻る

2020/令和2年5月 特選句・入選句 PDF





−−2020/令和2年4月−−

【特選 10句】

見てくるる人無き花の淋しげに

兵庫

小杉伸一路

野に放つ春愁の歩の軽さかな

香川

大山孝子

一年を元気に生きて花に逢ふ

兵庫

池田雅かず

春灯に虚子館展示新しく

兵庫

玉手のり子

春の蚊に敏き妻の手妻の耳

兵庫

岩水ひとみ

初蛙など聞こえざる街を生く

神奈川

進藤剛至

うららかと皆言ひたくて待ち侘びぬ

兵庫

森岡喜惠子

霜くすべぶどうハウスの夜を徹す

石川

辰巳昌彦

鎌倉も芦屋も行けぬ春惜む

石川

辰巳葉流

九年目も人無き町に桜満つ

神奈川

孤舟

戻る

2020/令和2年4月 特選句・入選句 PDF





−−2020/令和2年3月−−

【特選 10句】

風を読み星を探りて来る燕

兵庫

小杉伸一路

北窓を開け深呼吸深呼吸

大阪

多田羅紀子

さつきまで薄氷なりし水光る

兵庫

三村純也

地震越えて四半世紀の雛の黙

兵庫

涌羅由美

北窓を開き心に風通す

兵庫

玉手のり子

下枝がまづ満開の邸の花

新潟

安原 葉

キッチンに卵割る音地虫出づ

鳥取

前田 千

水色の空に黄を足す花ミモザ

兵庫

山口弘子

虚子館へ久の外出や牡丹の芽

兵庫

岩鼻絹子

春泥の靴並びたる医院かな

兵庫

三木雅子

戻る






−−2020/令和2年2月−−

【特選 10句】

虚子館の二十年目の春確と

香川

三宅久美子

多忙なる日々を誘ひて二の替

兵庫

小杉伸一路

今しばし空を愛で待つ梅早し

福岡

介弘紀子

白梅や虚子の言の葉揺るぎ無く

愛知

佐藤武彦

早春の山枯れ色を脱ぎ始む

東京

荒川ともゑ

虚子館はすべて記念樹木の芽吹く

大阪

多田羅初美

雨しとど邸の明るきミモザの黄

大阪

友井正明

梅の香を攫ふ雨虚子誕生日

兵庫

英賀美千代

シンポジウム熱く静かに梅真白

兵庫

岩鼻絹子

竿受けの壊れて錆びて紀元節

兵庫

大西美知子

戻る






−−2020/令和2年1月−−

【特選 10句】

大寒や花鳥のこころ満つ館

京都

西村やすし

未だ音の生まれざる街初茜

兵庫

小杉伸一路

虚子館へ仕事始の庭師かな

岡山

岩崎正子

俳磚をなぞる海光春隣

兵庫

奥田好子

待つ心やはらかく染め初茜

滋賀

大久保 樹

虚子学ぶ言葉四方より初句会

岡山

石井宏幸

寒紅の女医にすくはれたる次男

兵庫

ほりもとちか

束の間の日差に憩ふ寒牡丹

兵庫

宮本露子

初句会喉潤して名乗らばや

兵庫

森岡喜惠子

福引の列乱したる大当たり

兵庫

鈴木ひとみ

戻る