虚子記念文学館投句特選句 令和6年






−−2024/令和6年4月−−

【特選 10句】

春昼の千の俳磚黙深し

大阪

徳岡美祢子

神在すやうな春暁伊勢の空

京都

西村やすし

烏の巣にも届きたる神の息

神奈川

進藤剛至

花の塵巻き上げシュート決めにけり

兵庫

高野さち

もう仕舞ふ日数少なき館の雛

兵庫

黒田千賀子

エープリルフール笑うてあざむいて

兵庫

深尾真理子

きのふ松けふは花詠む芦屋川

大阪

石橋玲子

ほぐれゆく赤さは強さ牡丹の芽

大阪

奥野千草

大袈裟に喋り過ぎたる雪柳

兵庫

道中義臣

迫り来る作業着の腕烏の巣

兵庫

武田奈々
(青少年)

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−−2024/令和6年3月−−

【特選 10句】

木の芽風時にはつのる館の庭

新潟

安原 葉

天といふ遠き故郷梅咲けば

兵庫

西村みどり

山笑ふ瀬戸内海をくすぐつて

兵庫

玉手のり子

物種を販ぎ未来を販ぎけり

大阪

須知香代子

カフェラテにハートくつきり三月来

兵庫

上岡あきら

菫摘む歌劇の街の女学生

大阪

多田羅紀子

ホームズてふ名前負けしてゐる子猫

兵庫

高野さち

雛の間と化し風格の談話室

兵庫

深尾真理子

剪定や迷ひに迷ひたる鋏

兵庫

道中義臣

先輩の指のふるへや卒業歌

兵庫

武田奈々
(青少年)

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−−2024/令和6年2月−−

【特選 10句】

学帽を春一番に放り投げ

兵庫

惠島祥一朗

待針にかすれし名前針供養

東京

菅谷 糸

待春やランドセル置く枕元

大阪

勝山禮子

入籍の恥ぢらふ友よ梅香る

兵庫

足立朱麻

集落を孤立させまじ雪を掻く

石川

白根寿子

盆梅の枝丹念に大胆に

大阪

西尾浩子

薄氷に水の鼓動の伝はり来

東京

荒川ともゑ

春浅し古き手帳に遠き友

兵庫

高市敦之

春浅し鯉が空気を食べる音

静岡

いたまき芯

懐紙より取り出す針や針供養

兵庫

武田奈々
(青少年)

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−−2024/令和6年1月−−

【特選 10句】

若水に張りついてゐる星の息

神奈川

進藤剛至

燦々と日の降り注ぎゐる冬芽

新潟

安原 葉

一瞬を重ねて滝の凍りけり

大阪

若林友子

真筆に俤を追ひ春を待つ

兵庫

英賀美千代

一枚の毛布送らうかと思ふ

岡山

石井宏幸

初空へ揺らす風音館の木々

兵庫

辻田あづき

左義長の祈りの炎能登は雨

神奈川

平野孤舟

初明り浴びて二人の未来かな

大阪

立入宮子

異次元のしじまはおどろ滝凍る

兵庫

西村みどり

シロフォンの音階不揃ひの氷柱

大阪

椋本望生

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