虚子記念文学館投句特選句 令和4年






−−2022/令和4年12月−−

【特選 10句】

野鼠を襲ふ梟音も無く

兵庫

小杉伸一路

主なき部屋の残り香古暦

兵庫

武田優子

明るさを地に放り出し銀杏散る

東京

荒川ともゑ

師を偲ぶ冬日の御庭よく掃かれ

新潟

安原 葉

師の笑顔待つて下さる館ぬくし

大阪

徳岡美祢子

船団を迎へる長の懐手

兵庫

大西美知子

雑炊の味饒舌でありしかな

大阪

須知香代子

とびきりの笑顔正面冬薔薇

大阪

徳永由起子

滑り台冬日に白く傾けり

東京

宮村土々

山茶花や水音透けて偲ぶ庭

兵庫

内田泰代

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−−2022/令和4年11月−−

【特選 10句】

空淋しければ色鳥色残す

岡山

石井宏幸

追憶は師と仰ぎたる冬の雁

鳥取

中村襄介

虚子館は扉を開けて待つ小春かな

新潟

安原 葉

一軸の利休の心炉を開く

大阪

多田羅紀子

落葉して青空ぐんと近づきし

兵庫

田村惠津子

鴨の水決して人に媚びぬ距離

奈良

河村久美子

激戦の地や花芒花芒

兵庫

中井陽子

鳥渡るシベリアの気を身に纏い

兵庫

伊集院秀樹

冴ゆる夜のパイプオルガン音澄めり

愛知

小野 薫

凩や語尾の吹つ飛ぶ下校の子

兵庫

二瓶美奈子

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−−2022/令和4年10月−−

【特選 10句】

遥か来て汀子師偲ぶ館の秋

新潟

安原 葉

これよりも師を支へんと秋高し

神奈川

進藤剛至

何も彼も句の中にあり秋の声

神奈川

平野孤舟

回顧展出て現し世の萩の道

千葉

大慈弥爽子

たそがれて青たたみゆく秋の空

兵庫

山口弘子

昨夜献盃今宵乾盃今年酒

大阪

須知香代子

池の面に光の粒や松手入

兵庫

塚本武州

小鳥来る図鑑ひもとくテラス席

兵庫

武田奈々
(青少年)

秋深し翁の面に聞く囃子

兵庫

太平楽太郎

天空の青松かさの汀子邸

岡山

小幡恒雄

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−−2022/令和4年9月−−

【特選 10句】

師在さず水音も小さき庭の秋

新潟

安原 葉

師は旅にあると思うて庵の月

東京

荒川ともゑ

波音は銀のつぶやき夕月夜

兵庫

中村恵美

光透け朝の満月とけてゆく

兵庫

足立朱麻

艶めきのはみ出してゐる踊笠

奈良

河村久美子

天高し永久に芦屋の松林

兵庫

田村惠津子

灯を落とし月明に聴くホロヴィッツ

兵庫

池田雅かず

空透ける桜紅葉の一葉ごと

岡山

小幡恒雄

大琵琶に歓喜の集ひ湖の秋

大阪

徳永由起子

のら猫の集ふ祠や夕月夜

兵庫

武田奈々
(青少年)

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−−2022/令和4年8月−−

【特選 10句】

句縁とも人の縁とも今朝の秋

京都

西村やすし

星流る六甲掠めまたひとつ

兵庫

小杉伸一路

星飛んで闇に傷跡なかりけり

石川

辰巳葉流

流灯の涙色してとどまれり

東京

宮村土々

新豆腐水の余白のありにけり

兵庫

岸川佐江

蝉時雨村の小さき石仏

奈良

堀ノ内和夫

箸先の重き残暑の夕餉かな

兵庫

高市敦之

新涼や館にのこれる師の思ひ

神奈川

進藤剛至

秋の水とび跳ねてゐる水の黙

兵庫

辻田あづき

読みかけのギリシャ神話や星祭

兵庫

武田奈々
(青少年)

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−−2022/令和4年7月−−

【特選 10句】

館の庭晩夏の風を聴く桂

兵庫

清瀬 環

椿子の三回忌来し二重虹

京都

西村やすし

川音の暮るる芦屋や夏深し

兵庫

玉手のり子

秋近し叶はぬ旅のひとつあり

神奈川

進藤剛至

蝉しぐれ母の小言と友の声

神奈川

平野孤舟

苔庭に日の斑の揺れて夏館

兵庫

宮本露子

師の庭の明るさに汗引きにけり

東京

荒川ともゑ

露涼し三文得をせし気分

兵庫

近藤六健

白日を刻み散らして青嵐

神奈川

金子三奈乃

祇園会や稚児人形のうすき笑み

兵庫

武田奈々
(青少年)

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−−2022/令和4年6月−−

【特選 10句】

薫風や稲畑汀子句集成

新潟

安原 葉

木々を吹く風の重さよ梅雨兆す

兵庫

小杉伸一路

蚊遣香風の自在に香の乱れ

群馬

平山邦子

巻き戻す思ひ出の日々合歓の花

兵庫

玉手のり子

終日を天に蓋して梅雨の雲

兵庫

前田容宏

祭髪結ふことさへもなくなりし

東京

荒川ともゑ

あらたなる館長の歩や風薫る

神奈川

進藤剛至

足音の途絶えし庭へ実梅落つ

兵庫

英賀美千代

固く閉づ二階の窓や合歡の花

兵庫

長安悦子

嘴を逃れのがれてあめんぼう

兵庫

武田奈々
(青少年)

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−−2022/令和4年5月−−

【特選 10句】

日本の朝の始まる鯉のぼり

京都

西村やすし

ハイネに詩吾に俳句あり聖五月

兵庫

小杉伸一路

賜りしあまたのことば月涼し

神奈川

進藤剛至

葉の形空に表す新樹かな

兵庫

辻田あづき

薪能果てて大気の戻り来る

兵庫

武田優子

縄を分け潜る居酒屋夏暖簾

石川

伊東弥太郎

新緑に包まれて旅立ちの朝

岡山

山路 花
(青少年)

虚子館と呼び親しむや新樹晴

大阪

林 曜子

あさがおやわらっておくれにこにこと


やまもとかいと
(青少年)

能面をはみ出す頬や薪能

兵庫

武田奈々
(青少年)

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−−2022/令和4年4月−−

【特選 10句】

館に逢ふ汀子師若し万愚節

大阪

徳岡美祢子

とこしへの句碑に初蝶来たりけり

神奈川

進藤剛至

落椿これからといふ地の余白

大阪

多田羅紀子

散りかねてゐる花に雨いたりけり

東京

荒川ともゑ

風を待ち風と戯れ山笑ふ

東京

崎川晶子

千曲川風と駆け抜く花菜道

埼玉

土井洋子

これほどの芦屋の花を見ずに逝き

兵庫

平田 惠

プリズムとなりたる花瓶ヒヤシンス

福岡

藏本 翔

俳小屋の書冊の山へ春の塵

滋賀

近江菫花

欠席の多き教室ヒヤシンス

兵庫

武田奈々
(青少年)

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−−2022/令和4年3月−−

【特選 10句】

あたたかや虚子館といふ掌

兵庫

藤井啓子

啓蟄や明日へと歩み出す我ら

兵庫

池田雅かず

追憶の風に包まれ梅の庭

兵庫

川村ひろみ

鉛筆が色鉛筆へ山笑ふ

兵庫

塚本武州

悲しみに祈る心に梅香る

東京

荒川ともゑ

如月の光の中へ汀子の忌

愛知

小野 薫

庭椅子に汀子師かもと春の暮

兵庫

小柴智子

明日待たず花待たずして逝きたまふ

兵庫

中村恵美

み吉野のさくらふぶきに遊ばれよ

兵庫

田村惠津子

賜はりしことばの力梅真白

兵庫

武田奈々
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−−2022/令和4年2月−−

【特選 10句】

俳磚の日の斑こぼれて名草の芽

大阪

徳澤南風子

二ン月の皺にアイロンかけてをり

兵庫

吉村玲子

虚子館の春の雪なら濡れもして

兵庫

玉手のり子

薄氷に風滑りゆく轍かな

大阪

徳永由起子

立春や胸に騒めくもの数多

兵庫

前田容宏

快晴や虚子生誕を祝ぐ二月

新潟

安原 葉

梅が香や静心なる詩心

兵庫

岩水ひとみ

虚子像のまろやかな肩春立ちぬ

兵庫

藤井啓子

春浅し六甲山は寝惚け顔

石川

辰巳昌彦

冴返る神戸を赤い靴で行く

兵庫

江川由美

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−−2022/令和4年1月−−

【特選 10句】

鎮魂のトランペットや星冴ゆる

兵庫

池田雅かず

ひとひらをたたみ葩餅となる

兵庫

中村恵美

海風の撫で上げてゐる水仙花

兵庫

辻 桂湖

踏み入れば淑気みなぎる館の庭

兵庫

平田 惠

病窓に快癒の力四温晴

兵庫

高野さち

うつくしき言の葉の国かるた取る

神奈川

進藤剛至

希望また早梅の香に気づくより

兵庫

玉手のり子

人動く度臘梅の香の新た

兵庫

岩水ひとみ

オイオチバタマシヒヲドコニオイテキタ

神奈川

平野孤舟

クイーンの払い一閃かるた会

兵庫

武田奈々
(青少年)

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