虚子記念文学館投句特選句 令和3年






−−2021/令和3年12月−−

【特選 10句】

館の内外に虚子あり冬ぬくし

福岡

阿比留初見

幽玄の蝕極めたる冬の月

京都

西村やすし

交差点それぞれにある師走かな

大阪

辻 昌子

冬耕の大地の言葉聞きながら

兵庫

吉村玲子

いたはりの心庭にも霜囲

兵庫

小柴智子

七五三小さく紅を引きにけり

大阪

山田 天

水鳥の声より湖の明け初むる

奈良

河村久美子

寝癖など氣にしてをれぬ日短

兵庫

塚本武州

うすもものいのちのうたや冬木の芽

兵庫

武田奈々
(青少年)

お歳暮の挨拶がてら虚子館に

大阪

和中 唯
(青少年)

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−−2021/令和3年11月−−

【特選 10句】

虚子館へ道のり軽ろし小春かな

大阪

友井正明

白無垢の染まりさうなる紅葉晴

兵庫

金田八江子

切干の大鉢どんとたき上がる

兵庫

山田佳乃

赤々と鶏頭くらき花壇かな

兵庫

キートスばんじょうし

風韻の橡の落葉や庭明かり

兵庫

岩水ひとみ

茶の花の蕊に押されてひらきけり

神奈川

進藤剛至

城濠は水の回廊紅葉燃ゆ

兵庫

中井陽子

一年の思ひ秘めたる冬紅葉

兵庫

福間笙子

皺の手の爪繰る数珠や報恩講

兵庫

武田奈々
(青少年)

業平橋行き交ふ人の息白し

兵庫

阿曽宏之

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−−2021/令和3年10月−−

【特選 10句】

新酒てふただそれだけのことなれど

兵庫

小杉伸一路

秋蝶の翅に朝の空の色

兵庫

山田佳乃

ビルといふ置物並ぶ神の旅

神奈川

進藤剛至

新米やとぎつつ五指の弾みたる

兵庫

福間笙子

新米やとぎつつ五指の弾みたる

大阪

生澤瑛子

添水の音庭の静寂のありてこそ

奈良

好川忠延

柿熟るる今日の夕日の色をして

大阪

杉山千恵子

虚子館に集ふしあはせホ句の秋

大阪

多田羅紀子

虚子館の地下の集ひも秋日和

兵庫

内田泰代

過ぎてゆく群れの高さや囮鳴く

兵庫

武田奈々
(青少年)

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−−2021/令和3年9月−−

【特選 10句】

俳磚の詩の余韻や月の庭

京都

西村やすし

爽やかな館俳磚に囲まれて

新潟

安原 葉

どの花もみんな小さく大花野

兵庫

池田雅かず

虚子館の俳磚磨く秋の雨

石川

村上秀吾

雨昏む庭に露けき水の声

兵庫

西村正子

心耳もて聞く虚子の声秋の声

石川

伊東弥太郎

不規則を美しく装ふ秋の浪

兵庫

河野ひろみ

唐突に今朝唐突に彼岸花

兵庫

金田八江子

真筆を拝し身近に子規忌かな

兵庫

二瓶美奈子

秋の海テトラポッドに野球帽

兵庫

武田奈々
(青少年)

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−−2021/令和3年8月−−

【特選 10句】

記念樹に迎へられたる秋涼し

新潟

安原 葉

初秋の風を残して庭師去る

大阪

辻 昌子

緊張の風をなだめてゐる団扇

兵庫

山田佳乃

秋立つや業平橋のたもとにも

兵庫

阿曽宏之

立秋とそつとささやく風の息

兵庫

池田雅かず

忙しき日々に区切の文月かな

兵庫

塚本武州

秋茄子の籠をはみ出す色と艶

兵庫

福間笙子

香まとふ葉書の届く文月かな

兵庫

武田奈々
(青少年)

オリンピック大歓声の蝉と母

兵庫

榊原彩羽
(青少年)

まんまるを手に取って嗅ぐ青蜜柑

兵庫

菅原一真
(青少年)

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−−2021/令和3年7月−−

【特選 10句】

千余句の俳磚の声露涼し

京都

西村やすし

降り立てば降る記念樹の蝉時雨

新潟

安原 葉

日時計の影も歪んでゐる暑さ

兵庫

池田雅かず

バスを待ち祭太鼓を風に聞く

奈良

堀ノ内和夫

白き帆を沖へ沖へと大南風

兵庫

福間笙子

六甲の山肌黒く晩夏かな

兵庫

西村みどり

六甲の高きを睦み夏の蝶

鳥取

前田 千

窓を雲いくつ通ひて晩夏かな

神奈川

進藤剛至

くり返す母の話よソーダ水

兵庫

山口弘子

送らずにしまふ手紙や夜の秋

兵庫

武田奈々
(青少年)

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−−2021/令和3年6月−−

【特選 10句】

滾つ瀬を膝で捌きつ鮎を釣る

滋賀

石川多歌司

虚子館や虚子の机は黴てゐず

新潟

安原 葉

虚子館の句座なら梅雨を憂しとせず

大阪

徳岡美祢子

軽暖の業平橋に風の舞ふ

兵庫

阿曽宏之

梅雨の灯に濡れ表紙絵の金光る

兵庫

玉手のり子

あぢさゐのいろすきとほる雨上り

兵庫

武田奈々
(青少年)

蛍火の闇に水辺の匂ひくる

兵庫

奥田好子

教会の鐘遠きより五月晴

兵庫

永沢達明

遠き蟻気づけば足の裏に蟻

兵庫

塚本武州

草取りの帽と軍手にあるおしゃれ

兵庫

三木雅子

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−−2021/令和3年5月−−

【特選 10句】

新茶汲むつひの雫の音たかく

兵庫

武田優子

しろがねの山女くがねの水飛沫

兵庫

武田奈々
(青少年)

虚子のこと問ふインタビュー館涼し

新潟

安原 葉

卯浪寄す太棹の音の響く如

兵庫

小杉伸一路

木洩日もそつと包んで袋掛

兵庫

藤澤みか子

若葉風文学館に調べもの

兵庫

藤井啓子

母の日の遠し手伝券の色

兵庫

大西美知子

夕立やもう加はれる音のなき

神奈川

進藤剛至

母の日や路傍に摘みし花一輪

兵庫

高市敦之

集まりし句会や五月闇灯し

大阪

辻田あづき

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−−2021/令和3年4月−−

【特選 10句】

花に伏す友への祈り届けよと

兵庫

湧羅由美

花に発ち花に着く駅来て館へ

大阪

徳岡美祢子

さくらにも余生と言へる美しさ

兵庫

和田華凜

春惜む庭の水音の細きにも

新潟

安原 葉

虚子館へ散る花を浴び惜みつつ

石川

辰巳葉流

咲き満ちて風に黙解く桜かな

大阪

辻 昌子

散る花の止つてをりぬ花の下

兵庫

川村ひろみ

鐘の音は福音白き日曜日

兵庫

武田奈々
(青少年)

まだ都会にもゐる野鳥古巣かな

大阪

西尾浩子

一人旅虚子の館に春疾風

米国加州

福井雲府

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−−2021/令和3年3月−−

【特選 10句】

花ミモザ未来信じる看取妻

兵庫

森岡喜惠子

春風や虚子館はドア開け放ち

新潟

安原 葉

病室に卒業証書届きたる

兵庫

三村純也

懐に抱く分校春の山

兵庫

小杉伸一路

ふくよかな虚子のふところ紅椿

兵庫

小柴智子

朝桜ひとゆれもなく散りゆける

神奈川

進藤剛至

下萌や舗道の隅に隙間なく

兵庫

高市敦之

歳月や記念樹春の空を突く

大阪

林 曜子

三月や焦土と津波経験す

大阪

西尾浩子

海を向く干物のまなこ涅槃西風

兵庫

武田奈々
(青少年)

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−−2021/令和3年2月−−

【特選 10句】

春風や伝統俳句学ばんと

兵庫

武田奈々
(青少年)

よき知らせ受く虚子館の梅ヶ香に

新潟

安原 葉

早春や風に色生れ芦屋川

滋賀

礒田ひろみ

西の下は虚子の風景冬夕焼

京都

西村やすし

草青む野に気力得る外出かな

滋賀

石川多歌司

紅梅の散りて一水止まりぬ

大阪

山田佳音

いぬふぐりご免ねと押す車椅子

兵庫

池田雅かず

梅一輪より風匂ふ日の匂ふ

大阪

辻 昌子

その青のさらなる青へ鳥帰る

神奈川

進藤剛至

野焼果て闇深くなる広くなる

兵庫

田村惠津子

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−−2021/令和3年1月−−

【特選 10句】

若水を汲んで厨の音であり

大阪

綿谷千世子

六甲を越え来し雲に雪匂ふ

兵庫

藤井啓子

着飾つて気がねして行く初芝居

兵庫

大西美知子

海近き町風花の珈琲館

大阪

大川隆夫

凍星の語り童話の国に入る

鳥取

前田 千

音もなく冬芽うるほす雨の糸

兵庫

渡辺しま子

冬さうび祖母の真珠をつける朝

兵庫

鈴木ひとみ

恙無き幸の溢るる初湯かな

兵庫

宮本露子

平穏な日日の尊さ今朝の春

兵庫

深尾真理子

初富士や手水使ひの指の先

東京

宮村土々

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