「仰臥漫録」



05

 




手水鉢と秋海棠

 病床の低い視線から縁側を眺めた構図。丁寧に描かれた戸障子の桟や葉の深緑が赤い秋海棠の小花を引き立てている。新聞「日本」や「ホトトギス」の挿絵で活躍していた中村不折から絵具をもらい、子規が最初の描いた写生画も秋海棠だったという。


病牀所見
 臥シテ見ル秋海棠ノ木末カナ
 秋海棠朝■ノ花ハ飽キ易キ
 秋海棠ニ向ケル病ノ寝床カナ




一本足の蛙の置物

 歌仲間でもあった鋳金家の原安民が、自ら鋳て子規に贈ったもの。高さ7cm。実物大で正面と背面が描かれている。


此蛙ノ置物ハ前日安民ノクレタルモノニテ安民自ラ鋳タル也
 
背面 正面 実物大

無花果(いちじく)ニ手足
 生エタト御覧ゼヨ

蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)彼モ
 一時ト蚯蚓(みみず)鳴ク

 

 


05