第２回芦屋国際俳句祭　入選句

一般の部 高浜虚子顕彰俳句大賞 冬夕焼砂漠の果てを見せにけり 福岡 馬見塚吾空 文部科学大臣奨励賞 野に落つる日の大きさよ藍の花 徳島 上崎暮潮 高浜虚子俳句奨励賞 日本と違ふ日焼けをして帰国 愛知 水野久美子 蟷螂のいつも本気でありにけり 東京 木村享史 芦屋国際俳句大賞 流灯となりても列を乱しけり 山口 田中利則 芦屋国際俳句奨励賞 山手百十一番館秋薔薇 東京 河野美奇 芦屋市長賞 帰り花より青空に目を移す 香川 稲田真月 朝日新聞社賞 棘持つも毒を秘めしも花野なす 大阪 渡辺萩風 芦屋ライオンズクラブ賞 歩くとはこころ無にする草の花 富山 田上眞知子 審査委員奨励賞 鮟鱇の頭を吊す五寸釘 兵庫 齋藤　翠 落葉して森の深<さの失せにけり 福岡 松熊春嘉 枯蓮の鋼となりぬ影も又 兵庫 大森光栄子 野茂の夢イチローの夢獺祭忌 兵庫 井上千鶴 雪起しより本降りの静けさに 新潟 竹内暁風 指笛に蛇皮の音に島踊るかな 大阪 田原憲治 猪垣の端は筒抜けなりしかな 徳島 椎野たか子 爽やかや水彩絵の具試し塗り 韓国 河英美 目つむればふと風の野にゐる良夜 兵庫 長山あや 逃場なき研究室の西日かな 韓国 金泰定 戻る

青少年の部 洛南高等学校付属中学校 芦屋国際俳句大賞 夏休み富士山頂から始まりぬ 兵庫 奥田真行 安城市立安城東部小学校 芦屋国際俳句奨励賞 木にのぼり入道雲をつかまえる 愛知 長坂麻美 安城市立安城東部小学校 芦屋市長賞 たこあげをしている私も空をとぶ 愛知 杉浦亜衣 兵庫県立芦屋高等学校 朝日新聞社賞 竹林を通りぬければ秋の風 兵庫 竹末志穂 神戸市立垂水中学校 芦屋ライオンズクラブ賞 ふと見れば鰯雲あり組体操 兵庫 藤本倫正 鷺沼幼稚園 審査委員奨励賞 おさかながおひるねしてるすいぞくかん 神奈川 たなかゆうた 安城市立安城東部小学校 すべり台夕やけの中へ一直線 愛知 柴田裕旗 大牟田市立中友小学校 マラソンのタイムちぢめて息白し 福岡 平井彩子 浜田市立三階小学校 ゆず風呂とわかるにおいが家中に 島根 山本　楽 上野村立上野中学校 島中に甘いかおりやサトウキビ 沖縄 垣花秀幸 芦屋市立精道中学校 アンカーにつなぐ力走運動会 兵庫 大澤哲也 泰阜村立泰阜中学校 霜柱踏んでは音を聞き分ける 長野 合原　光 甲南中学校 うれしくてただ手をのばす初雪に 兵庫 板倉信吾 熊本県立玉名高等学校 虚子館を尋ねたことを書く年賀 熊本 鶴田恵美 兵庫県立芦屋南高等学校 かあさんの米とぐ指が冷たそう 兵庫 岩田久美子 戻る

海外の部 　 星野恒彦・訳 高浜虚子俳句奨励賞---Inspirational Award Honoring Takahama Kyoshi 　 Darko Plazanin　　Croatia each snowflake flies its own way into the same whiteness 雪片がどれも 思い思いに飛んで 一面の同じ白に 芦屋国際俳句大賞---Ashiya International Haiku Grand Prix 　 Stefanija Bezjak　　Croatia spring morning ---- mountain pastures reach up to the skies 春の朝−− 山の牧場が 大空へ届く 芦屋国際俳句奨励賞---Ashiya International Haiku Inspirational Award 　 Rosonshi (Paul Faust)　　Japan(日本) In stately manner Autumn descends the hillsides A tree at a time. おごそかに 秋が山腹を降りてくる 一度に一木ずつ 芦屋市長賞---Mayor of Ashiya Award 　 Radivoje Rale Damjanovic　　Yugoslavia A child on a swing in and out the shadow of blooming cherry tree. ブランコの子供 桜の木の影から 出たり入ったり 朝日新聞社賞---Asahi Newspaper Award 　 Marshall Hrycluk　　Canada first butterfly on the mud keeping to the sunlit patches ぬかるみの 日が当たる所を 離れない初蝶 芦屋ライオンズクラブ賞---Ashiya Lions Club Award 　 David Cobb　　U.K. WORKMEN WITH HOES ---- IN THE TAPROOTS OF THE WEED AN EATHQUAKE TREMOR 鍬（ホー）で除草する人 草の深根に かすかな地震 審査委員奨励賞---Inspritrational Award of Judges 　 Tito (Stephen Gill)　　U.K. Haiku selection night ---- Outside, bamboo cracking Under the weight of snow 雪折れの 竹の音する 選句の夜 　 　 Valerie Matsumoto　　Austraria Shot with gold the leaf chockd murk ---- carp deep below. 金色が走る 葉のつまった暗がり 深間の鯉 　 an'ya (Andja Petrovic')　　U.S.A. becoming daylight ---- a fallow deer retraces its own hoofprints 夜明け−− ダマジカ（鹿）が 自分の足跡を引き返す 　 Durda V. Rozic　　Croatia the spring Sun jumping among puddles by the railway 春の日が 線路ぎわの 水溜りを縫って跳ぶ 　 Mechthild(Mex) Harmann　　Germany AT THE PAPERSTAND... FALL RAIN DROPS FROM THE FRONTPAGE SEPTEMBER 11* 　(World Trading Center N.Y.) 新聞売店で 秋雨が新聞の第一面から滴る ９月11日 　 John Bird　　Australia november drizzle brings sounds of highway traffic nearer the village 11月の小雨 ハイウェーの車の音が 村に近々と聞こえる 　 Bogoljub T. Mihajlovic　　Yugoslavia onto a ripe dandelion a butterfly flew down then both soared 成熟したタンポポに 蝶がとまり 絮といっしょに舞い上がった 　 Mirko Varga　　Croatia The sind brings the leaves ---- gathers them car's window wiper 風がもちくる 木の葉−−それを集める 車のワイパー 　 Beverley George　　Australia stillness of white pebbles disturbed by flitting wren. 白い玉石の静けさ 飛びまわるミソサザイに かき乱され 戻る