虚子記念文学館投句特選句 平成31年ー令和元年
−−2019/令和元年11月−−
【特選 10句】
記念樹の枯葉震へてをりし晴
新潟
安原 葉
よぢ登る一トところあり紅葉狩
兵庫
三村純也
地に集ふ光の精や銀杏散る
大阪
阪井邦裕
生くるとは数多の別れ冬銀河
栃木
斎藤 光
落日を掃き寄せ銀杏落葉かな
兵庫
中村恵美
鼻の奥ぴしりと痛し冬に入る
兵庫
小杉伸一路
小品にこその丹精菊花展
香川
三宅久美子
連山を近づけてゆく時雨虹
鳥取
前田 千
あなどりて走れば時雨ついて来し
兵庫
金田八江子
落葉して明るき日向作りゆく
兵庫
清瀬 環
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−−2019/令和元年10月−−
【特選 10句】
容赦なき荒ぶる神や秋出水
兵庫
山西商平
一筋の風浮き沈み秋の蝶
兵庫
吉村玲子
さわやかや喃語零るるミサであり
兵庫
涌羅由美
どこまでも続く草原鰯雲
大阪
綿谷千世子
角切や御守胸に縫ひつけて
北海道
吉岡簫子
快晴の虚子館の空小鳥来る
新潟
安原 葉
色褪せぬ虚子の遺墨にある秋思
兵庫
勝田展子
庭隅のこんな所に初紅葉
奈良
好川忠延
嬰児の笑顔繋いで爽やかに
兵庫
奥田好子
筆談の鉛筆の音天の川
兵庫
藤井隆人
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−−2019/令和元年9月−−
【特選 10句】
さはやかや芋銭飄逸虚子洒脱
兵庫
山西商平
未知の友会釈や館の秋灯下
新潟
安原 葉
もう少し青空見たし穴まどひ
兵庫
山田佳乃
人なべて詩人となれる良夜かな
滋賀
石川多歌司
濡れ色を足し七草の雨有情
大阪
石橋玲子
新しきことの切なき盆提灯
大阪
加藤あや
師の庭の天まで届く松手入
兵庫
大西美知子
デュエットがオーケストラに虫の秋
大阪
多田羅紀子
冷やかな医師と笑顔の看護師と
大阪
西尾浩子
鈴虫の餌も添へられて届きけり
滋賀
尾崎恵子
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−−2019/令和元年8月−−
【特選 10句】
師の机椅子にも触れて露けしや
新潟
安原 葉
偲ぶもの又買ひ足して草の市
大阪
石橋玲子
初嵐一本松に韻(ひび)きけり
兵庫
三村純也
俳磚に移ろふ葉陰風は秋
鳥取
椋 誠一朗
ホ句の道極める決意夏行果つ
岐阜
花川和久
新涼や万象なべて甦る
滋賀
石川多歌司
水音を残暑を凌ぐ術として
兵庫
山西商平
館涼し虚子の机と金庫来て
兵庫
玉手のり子
雨宿りして新涼を帰りけり
奈良
好川忠延
燈下親し虚子の机の古き傷
香川
三宅久美子
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−−2019/令和元年7月−−
【特選 10句】
師の机椅子も納まり館涼し
新潟
安原 葉
実家とは昼寝をさせてやるところ
兵庫
三村純也
少年は野球大好き夾竹桃
奈良
好川忠延
合歓の花叶はぬ三瓶恋ふ心
兵庫
内田泰代
黴の香の明治の資料寂と積む
兵庫
橋本絹子
待ち合はす涼しき風の芯に館
岡山
岩崎正子
館涼し虚子の息づく机かな
兵庫
清瀬 環
大夕焼褪めて現に戻る街
香川
三宅久美子
会を守る涼しき矜持ありにけり
兵庫
勝田展子
サイダーの泡や彼待つカフェテラス
大阪
多田羅紀子
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−−2019/令和元年6月−−
【特選 10句】
朝の日の未央柳に金となる
岡山
伴 明子
雨の日に穿く白靴は別にあり
大阪
多田羅初美
はじめより藍深かりし四葩かな
兵庫
三村純也
花合歓にふと三瓶へと馳すこころ
福岡
島原仁代
ついり呼ぶ空の悒鬱ありにけり
兵庫
奥田好子
水音の深く窪みて梅雨に入る
香川
原 道子
身を投げんばかりヨットの向き変ふる
大阪
加藤あや
ひと漕ぎで百メートルの蜈蚣力
兵庫
伊藤秀子
あした着る服に薫風通しをり
兵庫
福間笙子
形代に託す穢れの多きこと
三重
池本準一
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−−2019/令和元年5月−−
【特選 10句】
遥か来し虚子館の庭風薫る
新潟
安原 葉
春灯や遺せしもののまたひとつ
兵庫
進藤剛至
新緑の庭を仕上げし水の音
兵庫
岩水ひとみ
末つ子の定位置祖父のセルの膝
兵庫
涌羅由美
日を抱き光紡ぎて梅は実に
兵庫
清瀬 環
虚子館へ学びを繋ぎ若葉風
岡山
石井宏幸
惑ふこと断つべく今朝の更衣
滋賀
石川多歌司
青葉して人住まぬ村蔽ひけり
奈良
好川忠延
虚子館はわたしのまほら新樹晴
石川
辰巳葉流
休日に車で寝てた蝉丸忌
大阪
落合恭也
(青少年)
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−−2019/平成31年4月−−
【特選 10句】
夜桜の闇の湿つて来りけり
兵庫
三村純也
漕いで行く先に希望や春の海
兵庫
小杉伸一路
俳磚に風のインクや風光る
兵庫
奥田好子
虚子館を訪ね虚子忌の心とす
大阪
林 曜子
小流も池も名を持つ庭うらら
京都
山崎貴子
皆花に呼ばれるやうに歩す芦屋
石川
辰巳葉流
うす紅を終として黄桜の散る
兵庫
山西商平
春昼や記念樹空へ伸び伸びと
新潟
安原 葉
春雨といふ安らぎに学ぶ虚子
兵庫
武本敬子
司会者の背の俳磚風光る
兵庫
木村オサム
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−−平成31年3月−−
【特選 10句】
初雷の近づきもせず鳴り終る
兵庫
三村純也
子の声のかさなり合へる春夕
兵庫
進藤剛至
初花も師の受賞祝ぐ邸の庭
新潟
安原 葉
水音の囃すうすずみ桜咲く
兵庫
大谷千華
雛の間一人遊びの声漏るる
兵庫
塩見成子
俳磚へ染める階段落椿
大阪
中野美栄子
先頭の右へ旋回雁帰る
兵庫
北井真有美
川音と風が芽柳育てゆく
大阪
西尾浩子
虚子館の未来へ椿明りかな
京都
杉森大介
雪ダルマみんなでつくってあそぼうね
神奈川
畑 のえる
(青少年)
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−−平成31年2月−−
【特選 10句】
観音の指を零るる初音かな
大阪
奥村つよし
立春と聞いて力を抜くまじく
兵庫
三村純也
梅が香を攫ふ風引き戻す風
東京
荒川ともゑ
記念樹や早春の日を浴びて伸び
新潟
安原 葉
日の喝采風の喝采花ミモザ
大阪
加藤あや
汀子邸一歩白梅そして紅
京都
宮本幸子
一声に誘はれ初音続けざま
福岡
介弘紀子
梅が香と気づきたるより一行詩
岡山
岩崎正子
ひと時雨もうひと時雨して日差
兵庫
進藤剛至
へやに行きカイロはがしてねこだっこ
東京
しんどうふうか
(青少年)
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−−平成31年1月−−
【特選 10句】
水音を紡ぎゆく庭春を待つ
兵庫
清瀬 環
目指しゆく恵方自づと虚子の道
大阪
石橋玲子
俳磚の一句一句の名に淑気
大阪
徳岡美祢子
初夢も儚きものの一つかな
兵庫
小杉伸一路
俳磚の角度にありし初明り
広島
広川良子
咲く力咲かせる思ひ寒牡丹
岐阜
花川和久
枕辺に雪の匂ひの重なりぬ
鳥取
前田 千
喪心のありて静かな寝正月
京都
山崎貴子
晩学の吾に探梅てふ風雅
大阪
田邉育子
早春の光を返す忘れ潮
大阪
中住笛美
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