虚子記念文学館投句特選句 平成17年






−−平成17年12月−−

【特選 10句】

庭つなぐ工事大詰め年の暮

新潟

安原 葉

虚子像に一年を謝し年惜む

滋賀

堀田 民

句短冊貼交屏風冬灯

埼玉

大久保白村

目つむれば虚子に逢へさふ十二月

兵庫

濱口宏子

年惜みつつ虚子館の人となる

福岡

持永真理子

俳磚に戻る日のなく暮早し

兵庫

五十嵐哲也

絵硝子の青の零るる冬日和

兵庫

中西あい

年行くや祝も過客の如く行き

兵庫

宮地玲子

記念樹の落葉尽して逞しく

兵庫

桑田永子

煖房や談話室にも日の斑揺れ

兵庫

黒田房子

戻る






−−平成17年11月−−

【特選 10句】

冬ぬくし母を気遣ふ虚子の文

兵庫

三村純也

祝ぎ近き故郷に秋惜みけり

東京

稲畑廣太郎

雨の日は雨の館詠み神渡し

埼玉

大久保白村

父恋ふや虚子先生の冬帽子

兵庫

桑田永子

手庇で仰ぐ記念樹館小春

兵庫

五十嵐哲也

七五三参りを終へて虚子館へ

兵庫

信清愛子

しばし立つ桂もみぢの御玄関

愛媛

遠山安津子

花石蕗や虚子記念館昼ひそと

香川

金崎紫峰

満点の着地見せたり朴落葉

兵庫

松岡たけを

柿赤しいくたびも夜が通り過ぎ

埼玉

関口謙太

戻る






−−平成17年10月−−

【特選 10句】

海までの長き花野や芦屋川

愛知

斉藤始子

心身を解く虚子館に秋深し

兵庫

桑田永子

邂逅の一つ桂の薄黄葉

愛知

芥 栄雄

俳磚に影置く木々や小鳥来る

愛知

新美友子

三人の兄と虚子文学の秋

埼玉

大久保白村

曼珠沙華白は赤より人目引く

滋賀

野瀬章子

赤い羽根胸に虚子館訪ねけり

兵庫

西田のぼる

虚子館の古き写真や獺祭忌

兵庫

鍛冶周半

鳴雪の筆飄飄と秋の館

大阪

徳岡美祢子

水引や俳磚の拭き磨かれて

兵庫

堀口俊一

戻る






−−平成17年9月−−

【特選 10句】

五年てふ館の落着秋灯下

東京

稲畑廣太郎

爽やかに大会準備虚子館に

兵庫

中村芳子

鳴雪の世界に入りぬ秋灯下

香川

福家市子

萩こぼれ人の気配の残さるる

岡山

綾野静恵

俳磚に流るる萩の風の影

大阪

会田仁子

白曼珠沙華にも燃ゆる日のありぬ

大阪

岩垣子鹿

若き日の跳る虚子の字秋灯下

兵庫

五十嵐哲也

秋晴や昨夜優勝明日句会

埼玉

大久保白村

曼珠沙華歩いてみたき畦ばかり

大阪

塙 告冬

虚子館に夜々の月など見たかりし

兵庫

信清愛子

戻る






−−平成17年8月−−

【特選 10句】

虚子の秋大正昭和無かりけり

大阪

滝 青佳

一会てふことのは涼し記念館

東京

鈴木胡桃子

八月や子規鳴雪の企画展

埼玉

大久保白村

虚子館へ秋暑鎮める雨つれて

岡山

長江康子

虚子の句に一日執し館涼し

大阪

岩垣子鹿

酔ひきつて一日終りぬ酔芙蓉

兵庫

長尾輝星

八重もまたしかと畳みて木槿散る

大阪

辻 千緑

夕顔や庭師の帰る頃となる

京都

福井鳳水

静けさに憩へば紅のさるすべり

岡山

黒川比沙子

虚子館に集ふこころに秋高し

大阪

中島陽太

戻る






−−平成17年7月−−

【特選 10句】

萩ぬれて雨に輝やく虚子の館

鹿児島

山元通章

俳磚の句は明るかり梅雨の庭

福井

高島松陰

梅雨の肥後梅雨の浪速と旅の途次

埼玉

大久保白村

俳磚の庭とは梅雨の暗さなし

福井

山崎越堂

記念館過ぎし日たどる刻涼し

東京

岩村惠子

白南風に乗る雲白し館の空

兵庫

長尾輝星

片陰を拾ひ拾ひて虚子館へ

奈良

塩川雄三

俳磚を仰げば匂ふ鹿の子百合

福岡

進 菁亀

俳磚に西日まともでありしかな

福岡

中村美作緒

蝉しぐれ浴び虚子館の門に入る

兵庫

中村芳子

戻る






−−平成17年6月−−

【特選 10句】

汀子句碑文字鮮かに松涼し

アメリカ

高橋カズ子

旅涼し先づ虚子館を訪ね得て

 

浅利恵子

虚子館の庭万緑に揺れてをり

福島

浅利清香

梅雨晴やバス停テニスコート前

埼玉

大久保白村

人去れば人待つ色に額の花

岡山

綾野静恵

雨に伏すほたるぶくろの滴かな

千葉

松村貴美子

曇天を離し泰山木の白

大阪

尾崎千鶴

記念樹の月日を迎ぐ大夏木

京都

福井鳳水

黒南風や木洩れ日もなき館の庭

鳥取

椋 誠一朗

月々の虚子館詣て麦は穂に

福井

山崎越堂

戻る






−−平成17年5月−−

【特選 10句】

新樹よりこぼるる日の斑虚子の館

東京

河野美奇

五年目の桂若葉に勢ひあり

大阪

辻 千緑

俳諧師読み継ぐ仲間五月来し

大阪

岡西恵美子

理事会をホールに憲法記念の日

埼玉

大久保白村

若葉して桂大樹の相もてり

福井

山崎越堂

俳磚の文字の涼しき櫨の蔭

岡山

長江康子

鵺塚橋渡りしあたり夏めきぬ

北海道

泉 狐雲

虚子机辺五月の小諸思ふべし

大阪

徳澤南風子

継がれゆく道たうたうと新樹晴

京都

藤山準司

軽暖の歩を記念樹に解きにけり

岡山

伴 明子

戻る






−−平成17年4月−−

【特選 10句】

この雨に吉野の花も散りをらむ

京都

安原 葉

あたたかや何時も目線の合ふ写真

兵庫

長尾美代子

花に祝ぐ千三百号記念展

大阪

尾崎千鶴

東京の花の賀を告ぐ虚子像に

兵庫

桑田永子

黄桜の淡き風あり午後の窓

大阪

岡西恵美子

チューリップ虚子の渡欧に想ひ馳せ

兵庫

柴田亜沙子

しばらくは花と語りて虚子館へ

兵庫

玉手のり子

行春やホ誌の変遷辿る館

広島

右田至鏡

入口で雪柳賞で椿愛で

埼玉

大久保白村

春光のあふるる虚子の庭にかな

愛媛

利田文子

戻る






−−平成17年3月−−

【特選 10句】

春灯や自在また無礙虚子遺墨

兵庫

西田浩洋

ホ誌一号かくも薄きに匂ふ春

岡山

奥山登志行

師の遺影笑み虚子館に余寒なし

兵庫

五十嵐哲也

虚子記念館に囀来ては去る

大阪

林 直入

俳磚に虚子の息づく椿咲く

滋賀

堀田 民

山風の海風のまた春の風

大阪

南 魚水

強東風や虚子文机の小振りなる

兵庫

松岡たけを

黄の色を極め連翹盛りなる

広島

右田至鏡

三月や千三百の記念展

埼玉

大久保白村

風光る一川海に入るところ

奈良

橋本 博

戻る






−−平成17年2月−−

【特選 10句】

祝ふとは学ぶこと虚子生誕日

京都

安原 葉

虚子語り虚子の句語り二月かな

大阪

蔦 三郎

春光がいっぱいの虚子館に来た

熊本

鶴田大祐

生誕の日の虚子館に集ふ春

埼玉

大久保白村

清流の岐れては合ひ水温む

奈良

橋本 博

温かや虚子信順の人集ふ

石川

藤浦昭代

虚子館に虚子生誕の日を過ごす

広島

右田至鏡

咲く配置落ちし構図に紅椿

香川

湯川 雅

春灯下虚子十態の躍如たる

兵庫

堀口俊一

梅ぬくし雨にも遺影笑み湛へ

兵庫

五十嵐哲也

戻る






−−平成17年1月−−

【特選 10句】

虚子館も芦庵も長閑目出度しや

豊中

滝 青佳

虚子館の虚子十態に笑初

狭山

大久保白村

案内さる臘梅の庭ゆかしけれ

芦屋

長尾輝星

初場所や虚子にもありし番付表

大牟田

田中黎子

芦屋川水の清らに去年今年

八尾

山下美典

寒木瓜や今日も扉は閉されて

福岡

下田水心子

今はなき師の俳磚に御慶のぶ

武生

山崎越堂

三代句碑震災句碑に年賀かな

吹田

鈴木石水

虚子館に漲る淑気初句会

枚方

中嶋陽太

虚子館に走り咲くもの日脚のび

神戸

五十嵐哲也

戻る